2016年度_表現プロジェクト演習(マンガ・アニメを中心とした街づくり)

2016/11/17 【マンガ・アニメ⑤】アーカイブ作業開始!

こんにちは、表現プロジェクト演習U、TAの佐藤です。第5回の授業報告を行います。

 

今回よりいよいよアーカイブ作業が本格化!まずはグループ分けを行い、3つのグループに分かれたところで、いよいよアーカイブ作業を行います。各グループ一つの作品の素材を受け持ち、作業を行います。

 

最初に、各グループが受け持つ素材群の中に、どのような素材が含まれているかの調査を行いました。例えば設定資料集が含まれていたら、何枚何頁あり、必要に応じて、制作を担当したのは誰かといった必要事項を調査しました。

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出てきた素材の例としては、設定資料集、絵コンテ、ゲストキャラ設定、メインキャラ設定、美術設定、メカニック設定などが含まれていました。中には実在するバイクの資料も見つかり、80年代からメカニックの参考にしていたのだなということが分かりました。

 

また、調査の中で、絵コンテの素材に書かれていること(各話サブタイトルとか)と、ネット上での情報が食い違うことがあったり、日米合作作品では、日本語版より英語版の記事の方が詳しく描かれていることがあったりしました。英語を訳すとなると、なかなか大変な作業ですね。私も英語を訳すのには時間がかかるので、いかに大変かは十分理解できます…。

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調査の中で、積極的に先生に意見を求めたり、疑問点を問いかけたりするグループが多かったです。スマホやタブレットを駆使して、情報収集を行うグループもありました。

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そうした調査が一段落ついたら、次は素材をパソコンにスキャンしデータを保存する作業に移ります。そのために事前に素材群をまとめるホチキスを外す作業があるのですが、この作業が一番大変かもしれません。素材を破いてはいけないし、多いと100枚くらいの絵コンテが留められていて、更に古くなっているホチキスは錆びているため、身体に傷をつけると、最悪感染症を引き起こす可能性があるのです。

 

その作業が終わると、いよいよスキャン作業に移ります。事前に手順をまとめたマニュアルが配られました。基本はスキャナーをパソコンに繋いだ後、素材を置き、スキャンし、パソコンでデータを保存、の作業を繰り返すという、割と簡単な操作なのです。

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こんな感じの機材を使います。右側のスキャナーをパソコンに接続し、素材をスキャンしていきます。

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しかし、素材がぼろぼろだったり、スキャンが終わってから、端が折れていた箇所が見つかったりと、非常に神経を使う作業でもあります。今回スキャンする素材は正本ではなく、基本コピーされた複製版がメインなのですが、複製版に後から書き足された箇所があったり、美術設定の中で☆印が付いている箇所とついていない箇所が確認されたりしました。そういった点が、学術的研究に役立つ可能性があるそうです。制作者が実際に手がけた、生の素材であるので、様々な知見が含まれているわけです。

 

最後に、各グループで、どのような素材があったか、判明したことを報告し合いました。各グループの素材で、1話103枚にも及ぶ絵コンテが含まれているなど、結構膨大な素材の数になりそうです。(ちなみにそのグループの素材数としては、キャラ設定58枚、美術設定53枚、別の話数の絵コンテ93枚と、300枚近い素材が含まれています。これ全部スキャンするのか…)

 

というわけで、今回はここまで。作業も本格化し、皆さん真剣な眼差しで授業に参加されていました。次回もスキャン作業が続いていきます。では、また次回もよろしくお願いいたします。

2016/11/11 【マンガ・アニメ④】特別授業その2、アニメが専門の大学の先生をお招きして

こんにちは、表現プロジェクト演習U、TAの佐藤です。第4回の授業報告を行います。

 

前回に引き続き、ゲスト講師の先生をお招きしての授業です。今回の講師の先生は、長年アニメーターとして働き(『機動戦士Zガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』などの作品に携わっていらっしゃいます)、現在は湘南工科大学でコンピューターが関係するアニメーションについて教鞭をとられていらっしゃる、渡辺英雄先生です!

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今回は渡辺先生から、アニメーション制作の過程や、実際に渡辺先生が制作に携わった際に作った素材を紹介していただき、来週からのアーカイビング作業に備えます。

 

まずは渡辺先生が実際に携わった作品を見て、どの部分において渡辺先生が手掛けたかを確認しました。この時、渡辺先生がアニメーションの専門学生と一緒に製作した『鷲宮☆物語』も併せて見ました。この作品は、『らき☆すた』という作品のアニメ聖地巡礼による地域振興が全国的に話題になった埼玉県鷲宮を題材にした作品で、渡辺先生のお仕事を体感すると同時に、専門学生の方々のレベルの高さも実感しました。この辺は私の専門のど真ん中なので、うかうかしていられません(笑)。

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その後、石田先生とキム先生からの質問に渡辺先生が回答する形のトークセッションがありました。

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このセッションでは、業界の裏話も多々伺うことができ、非常に興味深い時間でした。例えば、アニメーション作品の製作費は、テレビアニメ1話で1000万円かかるそうです。その中で原画(アニメのもとになる部分の絵を描く仕事)に90~100万円かかるそうです。そこから原画を一人でやると月にいくら稼げるかも聞く機会がありました。トップクラスの人なら、結構稼げるのか…。しかし、トップにたどり着くまでが大変そう…。

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その後、アニメーション制作の大まかな過程を説明して下さいました。順番としては…

①作画監督・原画担当・監督の打ち合わせ

→レイアウト決定=絵(キャラクター)と背景の配置決め

→演出担当・作画監督のチェック

 

②原画を描く=シーンのもとになる部分を作成

→1枚絵を描いた後、作画監督が適宜修正

 

③原画をもとに、動画(原画と原画の間=中割り)を作成

→作画監督のチェック

※平均1日100枚以上、本気でやると200枚、ロボットものなど情報量が多いと40~50枚、ロボットもので1カ月1000枚描くと、原画に昇格するシステムを採用する会社もあるそうです。

 

④彩色=仕上げ

→動画から色をつけ、彩色チェック

→併せて、煙などの特殊効果を作成

 

⑤撮影=カメラワーク決定≒合成(背景と合成)

セル画の位置を背景に指定する

 

⑥編集

→放送時間の尺に合わせて必要のない部分を削る

→尺に合わせた後、アフレコ(声優さんによる演技のレコーディング)、ダビング、音楽、効果音入れ

→映像と音響のリテイク

→納品=マスターアップ

 

ちなみに渡辺先生がお仕事をされていた当時、制作が放送に間に合わなかったら罰金があったそうです。今期も何本か間に合わなかった作品がありますが、罰金あるんでしょか?

 

というような裏話を併せた、アニメーション制作の過程をお話しいただきました。渡辺先生の授業の感想としては、超濃密!興味深いお話が数多くありました。それらすべてを記述していたら、とんでもない文量になってしまうのでこの辺にしておきますが、とても充実した時間でした。

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受講生の皆さんは、渡辺先生がかかわった作品の素材を見る機会があったのですが、非常に真剣かつ興味深そうに素材を見ていました。なかなか見ることのできないものばかりなので、貴重な体験になったと思います。

 

最後に、学生からの質問の時間も設けていただき、いくつかの質問がありました。アニメ業界で大変な事は?という質問に、2作品のディレクター(うち1作品は助監督)を併せて作っていたのが大変だったというお話がありました。昼8時間助監督、その後会社で2、3時間寝てもう1つの監督の仕事、そして家で2、3時間寝てまた助監督の仕事…というのを1カ月ほどされたそうです。受け手としてアニメを見るときは、面白いか否か位の感覚で見る人も多いかと思いますが、その裏側ではとんでもないプロの仕事があるのだなと感じました。

 

最後に渡辺先生から、今の時代ソフトもあるから、新海誠監督のように1人でアニメーションを作ることもできるから、作ってみない?というお誘いがありました。この報告を見ている方も、アニメーションに興味のある方が多いと思います。もしかしたら、自分で作ってみるのも面白いかもしれません。

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授業後には、居残りをして渡辺先生と話し合う受講者の方もいらっしゃいました。めったにない機会なので、ここで得た知識を今後活用してほしいですね。

 

というわけで今回の授業報告はここまで。いつもよりワード1枚分以上文量は書いているのですが、それでも全然書き足りないくらいの、濃密な授業でした。来週からのアーカイビング作業に今回の授業で得た知識を生かしたいですね。ではまた次回も、よろしくお願い申し上げます。

2016/10/27 【マンガ・アニメ③】特別授業その1、アニメーション制作者の講演を受けて

こんにちは、表現プロジェクト演習U、TAの佐藤です。第3回の授業報告を行います。

 

今回は特別授業として、現在新潟市で開催されている「文化庁メディア芸術新潟展 記憶と記録のモノ潟り」でも公開されている『はちみつ色のユン』を制作されたユング監督の講演に参加し、アニメーション制作やマンガとアニメの関係について学びました。

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ユング監督は韓国生まれの方で、5歳で養子としてベルギーに渡った経歴のある方です。そうした背景があるため、少年期から青年期にかけて複雑なアイデンティティを抱えていらしたそうです。そうした中で、絵を描くことが自らのアイデンティティを認める助けになったそうです。大学では芸術コースでデッサンを学び、その後マンガを専攻、更にアニメーションについても学び、多方面で活躍するようになりました。そして、成長するにつれ抱いていた祖国への複雑な感情が、誇りへと変わったそうです。(写真左がユング監督です)

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講演の途中では、制作過程の紹介もあり、キャラクターデザインの絵や絵コンテ、3Dモデリング等が公開されたり、絵に動きが付いていく過程も知ったりすることができました。この部分は特に、今後のアーカイブの際に役立つと思います。

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個人的に一番印象に残ったのが、作品を描ききることや自分の作品に自信を持つことが重要だと述べられたことです。机の下に隠すのではなく、勇気を出して一歩を踏み出し、自分の作品を公開することは簡単にできることではありません。そうした中で自信を持つということは、マンガ・アニメ制作においてだけでなく、人生の様々な場面でも重要になるなと改めて感じました。

 

(ちなみにユング監督、最初に作品掲載の契約を取った時、ノーアポだったそうです。やっぱり自分の作品に自信があると、大胆な行動ができますし、人を動かす力があるんですかね。私も見習いたい…)

 

最初の写真を見てお分かり頂けるように、受講者の皆さんだけでなく、新潟大学の在学生や先生方も多数参加した講演だったのですが、皆さん普段なかなか聞くことのできないお話に対して。興味深そうに耳を傾けていました。私も制作過程が順々に紹介され、最終的に絵が動いた時には「おお、すげー」と思うと同時に(小学生みたいな感想だ…)、アニメーションが完成するには多くの段階や作業があって初めて完成するのだなと実感しました。

 

特に最近はフル3Dのテレビアニメも増えてきた中で、(今放送中の『亜人』や夏に放送していた『ベルセルク』、有名どころでは『蒼き鋼のアルペジオ』や『シドニアの騎士』あたりでしょうか)3Dのモデリングの設定に関する資料は大変興味深かったです。(3Dモデリング含め)こういった素材を、今後アーカイビングしていくことになるんですね。

 

と、今回の授業が講演だったため、皆さんの活動記録というより、講演の紹介と私の感想みたいな記述になってしまいましたが、今回は貴重なお話を聞くことができたと思います。今後のアーカイブ作業でも、今日の内容を活かしていきたいですね。

 

というわけで今回はここまで。次回もなんとまたまたゲストの先生をお招きしての授業になるみたいです(私も楽しみ)。それでは皆さん、次回もよろしくお願いいたします。

2016/10/27 【マンガ・アニメ②】そもそもアニメってどうやって制作されるの?

こんにちは、表現プロジェクト演習U、TAの佐藤です。第2回の授業報告を行います!

 

先週レポート選抜を行い、無事15名の受講者が決定しました。今週から本格的に授業を開始していきますよ!

 

さて、では授業の様子を紹介…の前に、この授業の担当の先生をご紹介。まずは石田美紀先生(写真中央、プリントを持っていらっしゃる方です)。本学人文学部の先生です。映画がご専門で、映像に関することであれば幅広い分野に精通していらっしゃる先生です。というか、去年も説明しましたっけ。

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そして今年はもうおひとり、キム・ジュ二アン先生も加わって頂きます。キム先生はアニメーションがご専門で、アニメーションの素材のアーカイビングにも深い知識をお持ちの先生です。

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そんなお二人の先生の下、自己紹介を行った後、まず先生方が実際に行ったアーカイビング作業の様子を紹介して頂きました。誰もが知っている国民的アニメから、随分昔の名作まで、様々な作品の資料が出てきました。貴重な史料なので、慎重に扱わなければならないとの体験談もお聞きしました。この授業で実際に受講者の皆さんでアーカイブ(資料のスキャン・演出家は誰かなど、素材情報のカタロギング)作業を行います。皆さん集中した様子で説明を聞き、活発に感想等を話し合っていました。

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そして今回は、アニメ制作の過程について、短編アニメやメイキング映像を見ながら学びました。前回も少し書きましたが、脚本家、演出家、原画家、アニメーター、彩色、背景等々様々な仕事が一緒になって制作に携わります。一説ではテレビアニメ1話(約30分)に少なくとも3000枚の動画素材(動画によって、ちょっとずつポーズ等を変えることで動きを付けます)が、いわゆる「ぬるぬる動く」場合には8000から10000枚も描かれるそうです。…そう考えるといちいち素材を残しておくのも大変ですね…。

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こうした制作の過程を学び、受講者の皆さんからは、手作業が多い割に細かいこだわりがある、とか、アーカイブ作業の重要性を感じた、見ているだけでは原画1枚にそんなに意識していなかった、といった感想が聞かれました。皆さん、アニメ制作の大変さや、アーカイブの重要性が分かったようですね。

 

そんなところで今回はここまで。次回と次々回は特別授業ということで、ゲストの方をお招き(したり、ゲストの方の講演に参加したり)して、アニメ制作やアーカイブについて学びます。それでは次回もよろしくお願いいたします。

2016/10/27 【マンガ・アニメ①】受講者の選定

初めましての方は初めまして、そうでない方はお久し振りです。今年度の表現プロジェクト演習UのTAを担当します佐藤です。

 

さてこの授業は、「マンガ・アニメを活用した街づくり」をテーマにした授業になります。今年のテーマは、「アニメ中間素材のアーカイビング」です!…といっても、アニメ中間素材って何ぞや?とお思いの方も多いと思います。

 

アニメ制作にあたり、アフレコ等でしようする脚本、アニメの展開の流れを描いた絵コンテ、何枚も作られることで動きを生み出す原画・動画の絵…等。アニメを制作するには膨大な資料・絵・指示書があるわけです。それらがアニメ中間素材と言われています。

 

そうした資料を何故アーカイビングするのかと言えば、様々な素材の中に書かれている制作者の指示や実際描かれた線を保存することで、どのような行程で作品が作られたのか、とか、このシーンに制作者はどの様な意図をもって描いたのか、というような、作品をただ見ているだけでは分からない情報まで掴むこともできるのです。要は、ただ単に作品保存のためだけではなく、学問的なアプローチもできるため、こうした素材のアーカイビングが重要なのです。

 

じつはこうしたアニメ中間素材、アーカイビングが十全にはなされていなかったりします。アニメーターさんが資料として抱えていたり、破棄されていたり…。アニメ制作者たちの仕事を描いた『SHIROBAKO』というアニメ作品でも、使われなくなったアニメスタジオに昔のセル画が大量に残されている、なんてお話もありました。作品保存や学問的使用のためアーカイビングが大事となれば、この授業で何故アーカイビングを行うかもお分かり頂けるでしょうか。

 

でも、街づくりとは関係あるの?と思われた皆様!実は、『輪廻のラグランジェ』というアニメの舞台になった千葉県鴨川市で、同アニメの作品資料を保管しようというプロジェクトが進行していたりします。展示会等の活用などに活用される計画もあるそうです。そうした話があると、あながち街づくりにも関係ないとも言えなくもないのかもしれません。なにせ新潟は、「マンガ・アニメの街」ですからね。

 

そうした背景の下、この授業は開講されます。初回の授業は受講者選定のため、履修希望者にレポートを書いてもらいました。何せ定員15人に40人近くの希望者が集まったので…。お題は「アニメ中間素材のアーカイブ化するときに必要な心構えと、作業を通して学びたいこと」です。書いたレポートを読ませて頂いたのですが、皆さん、結構アニメの素材に興味を持っているんですね。

 

さて授業は、レポートを書いて終了。受講者が確定してないのに、これ以上作業できないので…。ほんとにレポートを書いて終了だったので、特に皆さんが活動している写真も撮影できず…。

 

以前後輩に私が書いた授業報告を見せた時、「うわ、字の海だ…」と第一声を受け、もっと見やすい授業報告をしようとしたら、初回でこのありさま…。事情の説明とか、あったもんね…、じ、次回からは、写真も併せて見やすい授業報告していきますよ!ほんとだよ!そんなわけで今回はここまで。次回もよろしくお願いいたします。

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