2013年度_表現プロジェクト演習(映像アーカイブ)

2013/12/12 写真展示のおもしろさ

写真の選び方や実際の展示現場で学んできた表現プロジェクトは、12月11日最終日を迎えました。この日は東海大学の水島久光教授が特別招聘講師として講義を行いました。講義の中で水島教授は、今回の展示会を見学した感想に触れ、自分の記憶を見ているような感覚になったと話しました。

原田教授は、アーカイブは「調査・発掘から始まり、分析・解釈から利用・再創造(展示)と進んでいく。そのノウハウを教えてきたつもりだ」と授業を振り返っていました。また榎本助教は「写真の表現能力を高めていくことが展示には要求される」と展示することによって写真のもつ表現能力を高めていく必要性を説いていました。

学生からは次のような感想がありました。

☆この授業を受ける前までは、どんなものかを考えたことがなかった。単にその一瞬を切り取るだけのものとという認識でしかなかった。しかしこの授業で、他者へのメッセージ性を写真から感じるようになった。そして写真の並べ方次第で印象が全く変わることがわかった。

☆これまで写真の並べ方はあまり考えたことがなかった。でも実際に展示会場で写真を並べてみると、並べ方次第で写真の印象が変わってしまうという体験をした。

☆写真は旅行写真や記念写真など外部記憶装置として捉えていた。しかしこの活動を通して、展示方法によって意図しないことが伝わることを知った。

☆展示に意図があることを知った。それまでなにも考えずに見ていた。勉強になった。

☆絵画の展示会には行ったことがあった。写真の展示会には行ったことがなかった。展示することで、表現できることを知った。楽しかったです。


原田教授・・・プロデューサーはいい写真は取れない。でもそれを誰かに取らせればいい。写真の知識はない、テクニックもない。それであるならば面白い写真を写真家に取らせればいい。写真の才能がなくても写真の仕事には就ける。そんな考え方を持って欲しい。

榎本助教・・・絵画は一枚で完結している。写真は一枚では成立はしないことも多い。複数を組み合わせることで成立する。並べ方一つで変わってしまうということがある。

2013/11/26 展示実践作業

こんにちは。TAの大内です。授業はいよいよ実践に入りました。11月22日はメディアシップにて23日から始める展示会の準備作業を行いました。展示箇所は二か所です。20階にある空の広場と一階の情報館です。写真の大きさはB0サイズ。想像を絶する大きさです。横が1.4M、縦が1.03Mです。今までの授業では手のひらサイズの写真しか見たことなかったので、同じ写真とは思えないほどの迫力です。展示会の石井仁志プロデューサーからはまずは写真の持ち方から伝授していただきました。少しでも折り目がついてしまったらせっかくの写真が台無しです。二人一組で両端をそうっと持ってすり足で移動しながら丁寧に扱います。写真の並べ方はすでに決まっていましたが、人の動線はどこなのか、それによって写真のストリーをどう表現するのか、黒っぽい写真同士が隣り合わせになれば見にくくなるので、濃淡を考慮しながら並べる。事前には決め手はいますが、その会場の雰囲気などを考慮して現場で再度検討することはよくあることだと教えていただきました。写真は白黒です。写っているものは新潟地震の写真です。非常にインパクトのある写真です。それだけにきちんとした展示方法が求められます。時間が経つにつれて学生にもその空気が伝わり、最初は話し声が聞こえていましたが、徐々にみんな真剣な表情で作品を並べる作業に集中していました。

もう一か所の展示作業である情報館の準備作業はクローズになった午後5時から始まりました。ここでの展示は壁に貼り付けるのではなく、吊り下げるという空間を活かしたユニークな立体的な展示方法です。新潟日報社でもこの展示方法を用いるのは初めてだそうです。写真は少し小さくなりましたが、目の高さで見られるということで迫力はB0サイズに劣っているわけではありません。むしろ被写体と目を合わせて見ることが出来、作品の中に入り込んでしまうかのような感覚になれる、そんな展示方法かもしれません。作業は吊り下げるチェーンの高さ決めや写真をパネルに貼り付ける作業などとても時間と手間のかかる作業の連続です。展示を始めた時は新潟大学の学生だったはずですが、この頃になるとまるでプロの展示職人のように自分たちで問題や課題を克服する姿が見られるようになりました。頼もしい限りです。

すべての展示が終わったのは午後7時半を回っていました。お疲れさまでした。

2013/10/25 写真の配列

こんにちは TAの大内です。

今回の授業は展示手法です。前回の授業で写真の選び方を学びました。その写真をどのように並べるのかがきょうの授業テーマです。私も前回に引き続き参加をさせて頂きました。私自身、写真の展覧会には何回か足を運んだことがあります。しかし並べ方まで考えたことが正直ありませんでした。展示会場を一周して、遠くから見たり、近寄って見たりしながら、作者の写真に対する思いや被写体に対する思い入れを巡らせたことはありました。でもなにがなく私が見ていた展示会にも並べた方の極意があったんですね。きょうの授業でわかりました。

まず受講生には2班に分かれてもらって並べ方につい、およそ30分話し合ってもらいました。まるでパズルのようにあっちこっちと写真を机の上で並べ、上から見たり遠くからみたりと、首をひねっておりました。並べる写真は18枚で、縦6枚、横3枚に並べます。写真は集合写真あり、個人写真あり、遠目写真あり、アップ写真あり、風景写真あり、笑っている写真あり、18の個性があります。

30分経ったところで発表です。どんなコンセプトで並べたのかを班ごとに話してもらいました。左から見てもらうため並べた、季節を意識した、目線を合わせた、どうしてもどこに並べていいのかわからなかったなど、意見もそれぞれでした。榎本先生からは、一面で見た場合の見せ方、一列で並べた場合の見せ方、目立つ写真をどこに配置するのか、自分でポーズをとっている写真の配置方法など、写真の個性を生かす配列方法を教えていただきました。また原田先生からは正解というのはないけれど、並べ方で見に来た人に並べた方のサインがわかるようにして欲しい、並べ方の趣旨を感じるような配列が好ましいという意見をいただきました。お二人の意見を聞いてみると、今までまったく見えてこなかった写真が収まるまるべきポジションが見えてくるのが不思議です。

次回からはいよいよ実践編です。ますます楽しみです。

2013/10/18 写真選びの極意

こんにちは!TAの大内です。

今週は宿題となっていた写真選びが授業のテーマです。宿題は先週配布された44枚の写真を20枚まで絞り込むことでした。一人一人が自分で選んだ写真に理由をつけながら解説したり、なぜ選んだのかを説明しました。構図が素晴らしい、子供の写真がよかった、人の表情がよく撮れていた、見ていて飽きないなど様々な理由が聞くことが出来て大変有意義な時間でした。中には一枚の写真から、写す側の気持ちと写される側の気持ちを考えながらその一瞬を物語風にアレンジする学生もいました。人によって見方はそれぞれで、正解のない感性を披露しあうような発表だと思いました。私も参加させていただきました。勉強になりました。

題材になった写真は奥会津で地域の人を長年撮影している方で、プロの写真家ではなく趣味として撮影している人です。44枚すべての写真にドラマを感じ、見ていて飽きないものばかりです。季節はばらばらで、真夏もあれば、真冬もあり、春もあれば秋もあります。子供写真もあれば、大人写真の集合写真もあります。仕事をしている様子の写真もあれば、遊んでいるような子供の写真もあります。原田先生が言うところの、写す側、写される側、そして見る側という3者の関係を考えながら、写真を見入ってみるとなかなか興味深く、奥深い写真ばかりです。

榎本先生からは展示会では、一枚一枚の評価という視点ではなく全体としてのバランスが大事で、展示会でどのように配列していくのか、そのためにどんな作品を選ぶのかという視点が欲しいというご意見をいただきました。

それでは次回はいよいよ選ばれた写真の配列方法について学んでいきます。

次回も楽しみです。

2013/10/11 写真展開催のノウハウ

こんにちわ TAの大内です。

授業が始まりました。きょうの担当は榎本千賀子先生です。今年新潟大学に赴任しました。写真家でもあり、写真研究家でもあるそうです。これまで手掛けてきた展示会や新潟に来るきっかけになった「今成家写真」の説明をしながら、話が進んでいきました。

この授業では、学生に写真展示会を開くためのノウハウを身につけてもらおうというのが目的です。普段なにげなく見ている写真の展示会もいざ自分でやろうとすると、なにをすればいいのか、どんな写真をどのようにならべればいいのかなど、わからないことだらけです。そこを写真家としての目線と展示会を開いてきた榎本先生のもとで一から伝授していただこうというものです。

展示会を開くには、①企画を立てる→企画書②関係者に許諾をとる③プランをつめる④広報⑤展示物を準備する⑥解説・リストの準備⑦展示-と流れのお話をいただきました。なかでも「展示物を準備する」が言うまでもなく一番重要です。数百枚の中から、時には数千枚の中から限られた展示スペースに合わせた枚数を選び出し、そこに統一性を持たせ、見る人を写真の世界へと誘う。経験もさることながら技術が必要になります。色のトーン、被写体とのバランス、テーマとの整合性など様々なことを考えながら写真を選んでいきます。簡単そうで難しく、何回も写真とにらめっこしながら、撮影した写真家の気持ちも斟酌しながらの作業になるとのことでした。でもそれはそれでまた楽しいと笑顔で学生に語りかけていました。

来週はその写真を選び方の実践編になります。どんな基準で、どんな価値観で、どんなテーマとの整合性で写真を選んでいくのか、じっくりとお話をお伺いできると思います。

非常に楽しみです。

2013/10/7 古いものに新たな息吹を吹き込む・・・

こんにちは!TAの大内です。後期の授業案内をしていきます。よろしくお願いします。

10月4日第一回目の授業はガイダンスでした。登録者は7人。未登録ながら興味があると授業に参加してくれた工学部の男子1人がおりました。他学部からの学生さんはありがたいです。

この授業ではアーカイブに所蔵されている写真、またアーカイブ写真の展示会での展示方法などを実践と座学などで学んでいく授業です。TAでありながらも私自身も楽しみにしております。みなさんといっしょになって勉強していきたいと思っています。

写真のおもしろさは、同じ時間に同じ場所で同じものを撮影しても、人ぞれぞれの写し方があるところです。サイズ、アングルなどに、それぞれの個性が表れるものです。そして時間の経過とともに個性の中にはその時に気がつかなかった時代の象徴が隠されていることがあります。アーカイブ写真には単に古いというだけで通り過ぎるにはもったいないお宝があります。それをみんなで勉強し、そしてアーカイブ写真の展示会を開いて、見に来てくれた人たちにそのお宝を発見してもらえるようにすることが、この授業の最終目的です。

来週からはいよいよアーカイブ座学が始まります。アーカイブに隠されたお宝を発見、解明できるよう、このブログでも少しずつ紹介していきます。ご笑覧ください。

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