2014年度_授業報告_表現プロジェクト演習(同人誌制作)
2014/12/8 同人誌制作 第5回(14.11.10)
みなさんこんにちは、
今週の授業では、前回打ち合わせをしたリレー小説の第1話が参加者に配布されました。先週は振替授業で木曜に授業が実施されたため、今回の授業(月曜)まで4日しか間がなく、担当の方はさぞ大変だったことと思います。
というわけで、早速全員でリレー小説1話目を読むこととなりました。
小説の題は「マジック・パラレル」。
内気な男子高校生浩太が、ミステリアスな同級生の美少女、黒川恵美に恋をするところから物語は始まります。どうにか恵美に近づきたいと思った浩太は、インターネットで調べた縁結びのおまじないを唱えますが・・・・・・、
初回ということで、まずは形式や内容について全員で共有すべきことをいくつか確認しました。とくに話し合いの中心となったのは、物語の地の文を誰の視点に設定するかということです。提出された原稿には浩太視点で書かれている箇所と浩太とは別の語り手が設定されている箇所とがありましたが、だれを語り手とするかによって書ける情報が異なります(浩太目線なら浩太の知らないことは書けない)ので、どちらかに統一しようということになりました。
その場での読み合わせでしたが、参加者のあいだで積極的な意見交換が行われました。「感情を描写する場合は動きのあることばを」「恵美を説明する描写はあまり類型的にならないように」など先生からのアドバイスもありました。
次回以降の内容によってはあとから1話目に手を加える場合もあるとのことですが、ともあれ本話をうけて2話目がどのように展開されるのか楽しみです。(TA 後藤)
2014/11/17 同人誌制作 第4回(14.11.06)
みなさんこんにちは。
前回までの授業では個人作品のみを扱ってきましたが、毎年この授業で制作する同人誌には個人作品のほかに「リレー小説」も載せています。
参加者の皆さん個人の作品が先週までに一通り提出されたということで、これまで通り合評も続けつつ、今回からはリレー小説にもとりかかります。
ということで、授業前半はリレー小説について打ち合わせを行いました。
リレー小説は毎週1人の担当者が1話ずつ発表し、次回の担当者に引き継ぐという形式で進めていきます。しかし残りの授業時間数の関係上全員にまわすことはできないので、数名のメンバーを選ぶことになりました。ぜひ小説を書いてみたい、という立候補者が多く、メンバー自体はすぐに集まったのですが、順番をどうするか、とくに書き出しや結末部を誰が担当するかという話になると、皆さんやはり少々尻込みしてしまう様子でなかなか決まりません。
そこで先生から、各回の担当者の役割について説明がありました。さらに、「1回目は誰に制約されることもなく一番自由に書ける」「最後から1回前は難しいけれど一番面白い」とのお話に皆さんモチベーションが上がったようで、めでたく全ての順番を決めることができました。
授業後半の合評では詩5編を扱いました。
今日は詩における漢字の使い方や、口頭語で詩を書くということが主な話題となりました。口語詩のはなしでは森高千里の「私がオバさんになっても」が例にあがりました・・・・・・なかなか懐かしい選曲です。
またとくに、詩の一部(なかでも最初や最後の一連)が詩全体の要約や説明になってしまわないように、と先生からの重要なご指摘がありました。
来週の授業ではリレー小説の第1話が早速発表される予定です。はたしてどんな物語が生まれるのでしょうか。また次回ご紹介します。(TA 後藤)
2014/11/17 同人誌制作 第3回(14.10.27)
皆さんこんにちは。
さて、今日は短歌とエッセイの合評です。
発表者による作品の朗読ののち、参加者の皆さんからは、
・複数の読み方ができる語の場合、漢字にルビを振った方がいいのではないか。そもそも漢字で表記する必要はあるか。
・ことばが重複している。
・(エッセイについて)固有名詞を入れて具体性を出した方が良いのではないか。
などの意見が出ました。
質問や意見の内容も踏まえつつ、先生が俳句・短歌作りのポイントを5つ教えてくださいました。
(1)紙に書く場合の原則として、5文字・7文字ごとにくぎらず、17文字(あるいは31文字)続けて書く。どうしても切りたい場合はあえて行を変える。
→ことばは繋がっているもの。スペースは空けず、句切れは作者が選んだことばの力のみによって読者に感じさせるべき。
(2)1句、あるいは1首の中に近接語を入れない。
→例えば「空」と「星」など。17文字・31文字という制約の中で究極のことばの選択を行うこと。
(3)句や歌の前に詞書きをつけても良い。
(4)句集、歌集の場合は全体に題をつけ、読者にヒントを与えるという方法もある。
(5)17文字、3文字のほかに補足しなければいけない語があるのはNG。
→句や歌が自立しているか。
また、今日の授業時間には新たに8つの作品が提出されました。集まった作品はこれで20作、なかなか読み応えがありそうです。
まだまだ合評は続きます。(TA 後藤)
2014/10/27 同人誌製作 第2回(14.10.20)
皆さんはじめまして、今年度「同人誌製作」のTAを担当する後藤と申します。これから半年間、授業の模様をお伝えしてまいります、どうぞ宜しくお願いいたします。
各自制作した詩や小説、エッセイについて批評し合い、出された意見を基に作品を見直して、最終的に1冊の同人誌にまとめるというのがこの授業の内容です。ただし授業の時間は毎週1回90分しかないため、授業時間には主に合評や編集を行うことになります。
写真は昨年度制作された同人誌「WORDSNOW 第5号」です。本文だけでなく装丁や挿絵も受講生の皆さんが手がけています。
講師は人文学部で日本近代文学を教えていらっしゃる先田進先生です。
初回には今年度も定員以上の参加希望者が集まったため、まず人数を20人ほどに絞り、その後自己紹介と授業計画の確認をしました。
今週は第2回目。参加者の皆さんから12部の作品が提出されました。すぐに全員分を読むことは難しいので、ショートエッセイ1作の合評からはじめることになりました。
気がついた点からどんどん意見を言おうということで、今回は「文末表現が統一されていない」など文法的事柄に対する指摘が中心でした。
先田先生からは、(日本語で詩や小説を作る場合に)観念的な性格をもつ「漢語」をむやみに用いるのではなく、日本人にとっての身体語である「和語」を中心に使うこと、さらに、文藝制作にあたり「私がこう思うから書く」のではなく、「私をこう思わせているものは何か」を考えてほしいというお話がありました。
~おまけ~
先田先生・画 「リュウグウノツカイ」
先生「これだとバショウカジキと間違えられるかな・・・・・・。」
比喩とは強調・虚飾ではなくありのままを描写しようとして生まれた表現である、というお話の中での1コマ。