超域文化論(同人誌)
「同人誌」を作ろう!
大学の授業で『同人誌』を作るって?
もし、大学の授業で、マンガやアニメ、あるいはゲームの創作やパロディを主眼とした『同人誌』を作ったり、さらには他の『同人誌』と情報交換したりできたなら、これはこれでさぞ面白い授業になるはずですが、あいにく私はこの方面の知識もエロ嗜好も持ち合わせておりませんので、こういう『同人誌』を期待される方にはちょっと不向きかもしれません。
で、本授業で『同人誌』を作ると言っても、実際には古典的な意味での文芸同人誌を制作することになります。具体的には、詩歌・小説・評論等の「創作⇒編集⇒版下作成」までの作業工程を同人(科目履修者)が担当し、印刷・製本については印刷会社に任せます。
ケンケンガクガク!
文芸同人誌の制作とは、当然ながら、文芸の創作と雑誌の制作の両方を同じスタッフで行うということです。そこで、まずは文芸の創作に取りかかりますが、雑誌の質を高めるためには、互いの作品を愛情をもって酷評し合うことが必須です。ここで一等大切なのは、たとえ自作がヤリ玉に挙がっても、ちゃんと「ありがとう!」と言えること、その恨みは次の合評の機会にでも晴らすという余裕を持てることです。こうして、厳しい相互批評を繰り返すことで、各自が持ち寄った原稿をかろうじて他人に読んでもらえるレベルのものに仕上げていきます。
編集って、何をするの?
これが商業誌なら、編集以降の作業は出版社に任せることになりますが、同人雑誌の場合は、原稿の校正、レイアウトはもちろん、雑誌の装丁、図版や挿絵等の作成も全部同人同士で役割分担して対応せざるをえません。その意味では、パソコンを操作して版下作成に従事するのが得意な人、もっぱらビジュアル面のセンスを発揮する人、イラストの才能を持った人、神経質なまでに校正にこだわる人が同人中にいるかいないかで雑誌の仕上がりも大きく影響を受けるはずです。
とにかく、立派な同人雑誌を制作できるかどうかは、同人各自の作品のレベルもさることながら、それにもまして同人間の意思疎通がいかにスムーズにでき、かつ辛い協同作業がいかに楽しくできるかで決まると言えます。